
投資信託の中に『バランス型』というものがあったんだけど、これってどういう商品なの?

バランスファンドのことかな。簡単にいうと、株式や債券などリスクやリターンの異なる複数の資産を組み入れた投資信託のことだよ

ということは、これを一つ買えば分散投資が簡単にできるってこと?

そんなイメージかな。とは言え、メリットだけじゃなく注意点もある商品。もう少し詳しく見てみよう!
バランスファンドのしくみ

投資の基本である分散投資のやり方のひとつに、商品分散がある。これは『株式だけ』とか『債権だけ』ではなく、複数の商品に分散して投資しようというものだね

商品分散が大事なのは分かるけど、個人で実際にやろうと思うと大変なのよね…

そんなお悩みを解決してくれるのが、このバランスファンドなんだよ
【バランスファンドとは】
- リスクやリターンの異なる複数の資産クラスを組み入れた投資信託
- 資産クラスには「国内株式」「外国株式」「国内債券」「外国債券」「不動産」「コモディティ」などがある
- ファンドによって組み入れられる資産クラスやその配分が異なる
- バランスファンドを一つ購入するだけで、複数の資産に分散投資できる
- リバランス(運用中に配分が変わったとき、もとの配分に直すこと)も自動でやってくれる
バランスファンドでは、例えば…
- 国内株式25%
- 外国株式25%
- 国内債券25%
- 外国債券25%
など4つの資産に均等に投資するものがあります。
これに不動産を加えたり、コモディティ(原油など)を加えるバランスファンドも。
また一言で「外国」といっても、先進国や新興国など対象地域は様々です。
リバランスで収益を確保

バランスファンドではリバランスを自動でやってくれるわけだけど、これで収益を確保している部分もあるんだよ
【リバランスによる収益確保】
例)国内株式25%、外国株式25%、国内債券25%、外国債券25%のバランスファンド
運用中に
- 日本株:下落
- 外国株:上昇
という状況になった場合、
- 日本株:25%→15%
- 外国株:25%→35%
のように配分が変わる事もあります。
この場合、
- 上がっている外国株式を売り
- 下がっている日本株を買い増す
ということで、
配分を元の
- 日本株:15%→25%
- 外国株:35%→25%
に戻します。
つまりリバランスによって、
- 値上がり資産は売って利益確定
- 値下がり資産を安く買う
ということを行っているわけです。
バランスファンドはどう選ぶ?

バランスファンドの仕組みは分かったけれど、バランスファンドもたくさんあって選ぶのは大変そう…

まずは自分がどんな運用を目指しているか、どれくらいのリスクなら許容できるか、そこをしっかり考えてみよう
【バランスファンドを選ぶポイント】
- 運用方針やリスク許容度を明確にする
- 株式、債券、不動産など、資産クラスによってリスクやリターンの大きさが異なります。
そのため、自分の運用方針やリスク許容度に合った商品を選ぶのがポイントです。
例1)多少リスクがあっても良いので、それなりのリターンを期待したい
→株式の配分が多いバランスファンドを選ぶ
例2)リターンよりも安定運用を目指したい
→債券の配分が多いバランスファンドを選ぶ - 手数料が安いものを選ぶ
- バランスファンドに限った話ではありませんが、手数料が高いものは選択肢から外しましょう。
投資信託の手数料には「買付手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」がありますが、特にチェックしておきたいのが信託報酬。
これは保有している間、ずっと支払い続ける必要のある手数料です。
買付手数料についても、0円のノーロードを選ぶのがオススメ。
さらに隠れたコストもチェックすることを忘れずに。
必ず支払う必要のあるコストは、できる限り減らすようにしましょう。

自分自身の運用方針とリスク許容度がはっきりしていれば、選ぶべき商品も絞られる。ここがはっきりしていない限り、どれが自分に合う商品か選ぶのは難しいだろうね

確かに、自分がどうしたいかが分からないのに商品を選ぶのは、設計図がないのに家を建てるようなものかもね
オススメのバランスファンド
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
販売手数料:0円
信託報酬: 年0.68%プラス・マイナス0.03%
信託財産留保額: 0.1%
純資産額: 約1,490億円
特徴:
株式50%、債権50%で国内外のバンガードの8本のインデックスファンドに投資するもの。
信託報酬、隠れた手数料も低く、おすすめの1本です。
取扱ネット証券: 楽天証券他
バランスファンドのメリット
- 分散投資が簡単かつ少額でできる
- 様々な資産クラスの商品に分散投資をするとなると、それなりの手間とお金がかかります。
バランスファンドなら商品選びの手間が省けるうえに、投資信託なので1万円程度から購入可能。
少ない資金で分散投資が簡単にできるのは、やはりメリットと言えるでしょう。 - リバランスの手間が省ける
- 価格が変動する以上、運用中に配分が変わるのはよくあること。
最適な資産配分を維持するためには、定期的にリバランスをする必要があります。
バランスファンドならこれも自動的にやってくれるので、手間を省くことも可能。
投資にかかる時間を省力化したい人には、最適な商品と言えます。
ちなみにリバランスのコストは、隠れた手数料として負担しています。

バランスファンドを買えば、あとはいい感じに運用してくれるわけでしょ?貯金するよりもリターンは大きいわけだし、使わない手はない気がするけど…

確かに便利かもしれないけれど、注意点だってある。むしろ、メリットよりも注意点の方が大事だったりするよ!
バランスファンドの注意点
- 手数料が割高
- 一般的に、バランスファンドの手数料はインデックスファンドと比較しても割高な傾向があります。
中には手数料が2%を超えるファンドも。
もちろん、全てのファンドが高いわけではなく手数料が安いファンドもあるので、手数料はよくチェックして選びましょう。 - 表に現れない隠れた手数料がある
- 投資信託では「買付手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」が明示されていますが、他に「その他手数料」という隠れた手数料があります。「その他手数料」は毎年変わるという理由から公開されていません。知るためにはファンドの運用報告書から計算するか、モーニングスターのコスト詳細から確認するなどの方法があります。
純資産が100億円以下の小型ファンドは隠れた手数料が高くなる傾向に。 - 資産の一部にバランスファンドを組み入れると、残りの資産配分が難しくなる
- 投資をする際、どういった資産配分にするかを考えるのは大切なこと。
一つのバランスファンドだけで資産運用していれば良いですが、一部に組入れてしまうと配分を考えるのが難しくなってしまいます。 - 資産配分の割合は原則として固定
- 資産配分は運用方針によっても変わりますが、実は年齢によっても変わってきます。
20代なら運用期間も長いうえに養う家族がいないことも多いので、リスクを大きく取ることもできます。
それが40代・50代と歳を重ねると、今後の収入は減る(収入が得られる時間が短くなる)一方で、支出(子育てや教育資金など)は増えることが予想されますよね。
20代の頃のようにリスクを大きく取るよりも、安定した運用を目指す方にチェンジすべきというわけです。
しかし一般的なバランスファンドでは資産配分が原則として固定されているので、こうした資産配分の変更が難しくなってしまうのです。
また、資産配分が固定されていることで、相場が好調な商品の比率を増やしたり、逆に不調な商品の比率を減らすことも難しくなります。

複数の資産クラスに配分されている点はバランスファンドのメリットだけど、その中身を自由に変えるのは難しいってことね

あらかじめ決まった配分で購入者を募集するのに、それを変えてしまうと『話が違う!』と言われるでしょ。バランスファンドは、お任せできるけど自由さがない…という感じかな。ただ、今は投資家のライフサイクルに合わせて、資産配分が変わるように設計されているバランスファンドもあるよ
ライフサイクルファンドについて
主に次の2つのパターンがあります。
① ターゲット・イヤー型
償還時期を退職時などに合わせたタイプのバランスファンドです。
最初は株式など比較的リスクの高い資産クラスの配分が多く、時間の経過とともに債券などリスクの低い資産クラスの配分が多くなります。
② スタティック・アロケーション型
異なる資産配分のファンドを複数提供するタイプのバランスファンドです。
投資家が年齢とともにファンドを乗り換えることで、年齢に合った資産配分で運用することができます。

ライフサイクルファンドは年齢に合わせて配分が変わるから、より使いやすいバランスファンドとも言える。ただし、だからといって『完全に任せっきり』はダメ! 資産運用する以上は、こまめにチェックすることを忘れずにね
まとめ
- 一つの商品に複数の資産クラスを組み入れた投資信託のこと
- バランスファンドを一つ購入するだけで、複数の資産に、少額で分散投資ができる
- リバランスも自動的にやってくれるので、手間を省ける
- 手数料はインデックスファンドと比較して割高な傾向にある
- 投資信託特有の「隠れた手数料」に注意。純資産100億以下などのファンドは要注意。
- 運用商品の一部に組入れてしまうと、全体の資産配分を考える際に難しくなる
- 通常は資産配分の割合が固定されている
- 相場が好調な商品の比率を増やしたり、不調な商品の比率を減らすことが難しい
- ライフサイクルに合わせて資産配分が変わる「ライフサイクルファンド」もある