
株式の個別銘柄のページに折れ線グラフみたいなものがあるんだけど、これって株価を表しているのかな?

チャートのことだね。株価はもちろん、相場のトレンドや売買タイミングなどいろんな情報が読み取れると言われているよ

このグラフだけで、そこまで読み取れるの?

デイトレーダーなど頻繁に売買をする人たちは、主にチャートを基準に投資判断をしている。長期投資でも一応チャートの見方は知っておいた方が、判断の要素のひとつにはなる。株以外のFXなどでも役立つので、一応見方は覚えておこう!
チャートとは?
- 株価や相場の動きを一目で分かるようにしたもの
- 値動きなどをビジュアル的に捉えられる

株価の値動きを見たいと思ったとき、ただ数字が並んでいるだけのものとグラフのようになっているものだと、どちらが分かりやすいかな?

もちろん、グラフみたいに示されている方! 数字だけだと動きを読み取るのが大変…

つまり、これまでの株価の動きなどをパッと見て分かるようにしたものってこと。チャートから情報が読み取れるようになると、それを投資に活かせるようになるんだ
株価チャートってどんなもの?

株価チャートとして目にする機会が多いのは『ローソク足』と呼ばれるもの。ネット証券で株価をチェックするときも、ローソク足のチャートが表示されるよ

ローソク足以外のチャートもあるの?

ティック足チャートやバーチャートなどいくつかあるけれど、基本的に株価チャートといえばローソク足を指すことが多い。まずはローソク足についてしっかり押さえておこう
【株価チャート(ローソク足)とは】
- 日本で生まれたチャート(古くは江戸時代までさかのぼる)
- これ1つで4つの価格情報が分かる
- 株価が右肩上がりなのか右肩下がりなのかを直感的に捉えられる
- 期間を自由に区切って株価の動きを見ることもできる
期間を1日とした場合は「日足(ひあし)」、週単位なら「週足(しゅうあし)」、月単位なら「月足(つきあし)」といいます。
1日よりもさらに細かい「5分足」もあり、デイトレーダーは「5分足」や「日足」を参考に投資判断を行います。
長期投資の場合は「週足」や「月足」が参考になります。
【ローソク足で分かる4つの価格情報】
- ① 始値
- 一定期間のうち、最初についた価格
- ② 終値
- 一定期間のうち、最後についた価格
- ③ 高値
- 一定期間のうち、最も高い価格
- ④ 安値
- 一定期間のうち、最も安い価格

ローソク足は『実体』と呼ばれる四角形と、『ヒゲ』と呼ばれる実体から上下にのびる直線からできているんだ
【実体とヒゲ】
- 実体:始値と終値の価格の範囲を示す
- ヒゲ:上にのびたヒゲは高値を、下にのびたヒゲは安値を示す

後で解説するけれど、チャートを見てみると実体がないものやヒゲがないものもある。でもどんな形でも、4つの価格情報を表していることに変わりはないよ
例2)ヒゲがない→安値・高値がつかず、始値から終値まで一気に価格が動いたと読み取れる
【実体の塗りつぶしの有無】

チャートを見てみると実体が塗りつぶされていないものと塗りつぶされたものがあるけど、この違いは?

その期間中に株価がどう動いたかによって変わるよ。始値より終値が高ければ(株価が上がれば)塗りつぶしなし、始値より終値が安ければ(株価が下がれば)塗りつぶされて表示されるんだ
- 塗りつぶしなし(または赤色)
- 陽線と呼び、始値より終値が高いことを示す。陽線では下が始値、上が終値となる。
- 塗りつぶしあり(または青色)
- 陰線と呼び、始値より終値が安いことを示す。陰線では上が始値、下が終値となる。

ローソク足を見れば、その期間中に株価の値動きがどれだけあったかが一目で分かるってことね

そういうこと。そしてローソク足の形で、その銘柄がどんな状況なのかも見えてくるんだ
実体の長さやヒゲの長さで、買い時か売り時か、もしくは様子見なのかといった売買のタイミングを予想することができます。(外れることも多いので、あくまで参考程度ですが…)
- 例1)実体が長くヒゲがない
- 実体が長いのは売買が活発で価格が大きく変動しているということ。
ヒゲがないのは価格が一気に動いたことを示し、翌日もその勢いが続くと予想できます。
陽線の場合は「陽の丸坊主」と呼び「買い」のサイン、陰線の場合は「陰の丸坊主」と呼び「売り」のサインです。 - 例2)実体が短い
- 実体が短いのは売買が均衡しているためで、陽線でも陰線でも「様子見」のサインです。
- 例3)上に長いヒゲがある
- 上に長いヒゲがあるので一時的に株価は上がったものの、その後は売りが強く終値で下がったことを示します。
この場合は売りの勢いが強いため、株価が下がることが予想されます。
このローソク足が現れた場合は、陽線・陰線ともに「売り」のサイン。
陽線だから必ずしも「買い」のタイミングとなるわけではない点に注意してください。 - 例4)下に長いヒゲがある
- 一時的に株価は下がったものの、その後買いが強く終値で上がったことを示します。
底値付近でこのローソク足が現れた場合は、陽線でも陰線でも「買い」のサインです。 - 例5)実体がない
- 始値と終値が同じだった場合は、実体がないローソク足になります。
- T字型の場合
一時的に株価が下がったものの、その後持ち直して始値と終値が一緒だったことを示します。
底値付近でこれが現れた場合、その後株価の上昇可能性があるので「買い」のサインです。 - 逆T字型の場合
一時的に株価が上がったものの、その後下落して始値と終値が一緒だったもの。
株価下落の可能性があるので、「売り」のサインとなります。 - 十字型の場合
様子見の状態で、売買が均衡していることを示します。
上昇傾向にあるときに十字型が出ると、その後株価は下落する可能性があるため「売り」のサインに。
逆に、底値付近で十字型が出ると株価は上昇する可能性があるため「買い」のサインになります。
- T字型の場合

簡単なカタチなのに、こんなにたくさんのことが読み取れるのね…!

シンプルなのにスゴイでしょ?でも、ローソク足だって万能ではないから、「買い」サインが出ても株価は下落することもある。あくまで参考にしかならないよ。
移動平均線とは?

株価チャートを見ると、ローソク足と一緒に表示されている折れ線グラフがあることに気付いたかな?


そういえば、色の違う線が2つ3つ引いてある気がする

その線のことを『移動平均線』と呼ぶんだ
【移動平均線について】
- ある特定の期間における株価の終値の平均を結んだ線
例)5日移動平均線の場合
当日から過去5日分の終値を足して5で割った数字を、線で結んだものとなる - 株価チャートのなかに表示される
- 全体として株価が上昇トレンドにあるのか下落トレンドにあるのかが読み取れる
- 短期と長期など期間の異なる2本の線を同時に表示させ、分析するのが基本となる

株価が上昇トレンドに入ったか下落トレンドに入ったか、それを知る目安となるポイントがあるんだ
【上昇トレンド?下落トレンド?】
相場のトレンドは、短期と長期の移動平均線の位置関係を見れば知ることができます。
- ① 上昇トレンドに入ったとき
- 短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ交差すると、相場が上昇トレンドに入ったと見ることができます。
これを「ゴールデンクロス」と呼びます。 - ② 下落トレンドに入ったとき
- 短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下へ交差すると、相場が下落トレンドに入ったと見ることができます。
これを「デッドクロス」と呼びます。

ゴールデンとデッド…名前を聞いただけでも相場のトレンドがイメージできるわね

ゴールデンクロスやデッドクロスが現れただけで、今が売買のタイミングだと判断しちゃいけないよ。目安程度に考えて活用しよう!
移動平均線乖離率について
- 株価が移動平均線からどれだけ離れているかを示したもの
- 株価と移動平均線の価格差÷移動平均線の価格×100で算出
例)株価が3,000円、25日移動平均線が2,800円の場合
価格差:200円
移動平均線乖離率:200(円)÷2,800(円)×100=7.14(%) - 株価には「いずれ移動平均線に近づく」性質があるので、乖離率が大きくなると「そろそろ転換点かな」と見ることができる
- 過去の経験則から5%を超えると「調整局面」に、10%を超えると「転換点」とされる

移動平均線と株価を見て、トレンドの転換点を予想することもできるよ。ただ、これもあくまでも目安。当てはまらない場合もあるから、鵜呑みにするのはNGだよ
出来高グラフとは?

ローソク足の下に表示される棒グラフは何を表しているの?


これは出来高を表しているよ。どれだけ売買されたかを示す、人気度みたいなものだね
【出来高について】
- 一定期間中の銘柄の取引量を示す
- 業績がいい=出来高が高いわけではない
- 出来高が増加すると株価も上昇し、減少すると株価も下落する傾向にある
- 出来高が少ない銘柄は価格の変動が大きく、出来高が多い銘柄は比較的変動が穏やか

出来高を見ると、投資家がその銘柄にどれだけ注目しているか分かるのね

人気度が分かるだけじゃなく、株価の動きを予測する人もいるんだ。『出来高は株価を先行する』という言葉もあるんだよ。株価の動きと出来高を見て、売買のタイミングを判断する投資家もいるしね。

出来高を見ても投資判断をする人がいるのね。チャートも使い方が人それぞれだな…

まぁ、チャートで株価が100%予測できたら、デイトレーダーは全員億万長者になっているはず。実際は多くのデイトレーダーが廃業しているんだから、チャートなんてその程度のものだと考えよう。
チャートについてのまとめ
- チャートは株価や相場の動きを一目で分かるようにしたもの
- 株価チャートは「ローソク足チャート」が一般的
- ローソク足は「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの情報が一度に分かる
- ローソク足の形は「売り」「買い」「様子見」の判断材料となる(といわれている)
- 移動平均線はある特定期間の終値の平均を結んだ線で、ローソク足チャートの中に表示され相場トレンドや売買タイミングを知る指標となる
- 短期と長期、期間の異なる移動平均線を使い、株価のトレンドをある程度予想できる
- 出来高はその期間にどれだけ売買されたかを示し、株価チャートの下に棒グラフで表示される
- 「出来高は株価に先行する」と言われ、売買タイミングを判断する材料となる
チャートは投資判断において参考にはなりますが、単純にそれだけで判断すれば良いものでもありません。
特に、長期投資の場合は企業の業績や財務状況といったファンダメンタル分析の方が重要。
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