
投信積立で知っておいてもらいたい投資手法に、ドルコスト平均法がある

ドル?外国株式なんかの投資信託に関係する話?

アメリカ由来の投資方法だから『ドル』とついているけれど、国内外関係なく積立投信に関係する話。分散投資の手法のひとつだよ
ドルコスト平均法とは
- 一定期間、一定金額分の商品を買い付けながら投資をする手法のこと
- 投資信託のように1口あたりの取得価額が日々変動する商品を購入する場合、最終的な平均取得価額を引き下げる効果がある

たとえば『Aという投資信託を毎月1万円分ずつ買い付けていく』のが、ドルコスト平均法の手法だよ。基準価額に関係なく、決まった金額を買い付けていくのがポイントかな
【積立投信における投資信託の買付方法】
積立投信では、月々の投資信託の買付方法が2通りあります。
- ① 毎月決まった口数買い付ける
(例:毎月100口ずつ買い付ける) - ② 毎月決まった金額分買い付ける
(例:毎月1万円分ずつ買い付ける)
① の方法では「毎月100口」と決まっているため、基準価額の変動に伴って月々の取得額も変動。
基準価額が安い月は少ない金額で済みますが、高い月は買い付け額も高くなります。
② の方法(ドルコスト平均法)では「毎月1万円分」と決まっているので、基準価額が高いときには少ない口数を、安いときには多く購入することになります。
【2通りの買い方による結果の違い】
※表は横にスクロールします→
月数 | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 5ヶ月目 | 6ヶ月目 | 合計 | 1口あたり 平均取得価額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1口あたりの価格 | 1,000円 | 800円 | 1,200円 | 1,000円 | 900円 | 1,100円 | ||
毎月100口 購入する場合 | ||||||||
購入価格 | 10,000円 | 8,000円 | 12,000円 | 10,000円 | 9,000円 | 11,000円 | 60,000円 | 1,000円 |
口数 | 10口 | 10口 | 10口 | 10口 | 10口 | 10口 | 60口 | |
毎月1万円分 購入する場合 | ||||||||
購入価格 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 60,000円 | 983.6円 |
口数 | 10口 | 12.5口 | 8.3口 | 10口 | 11.1口 | 9.1口 | 61口 |

どちらも最終的には6万円分購入しているのに、決まった金額分買い付けるドルコスト平均法の方が保有口数は多くなっているわ

ドルコスト平均法には、取得価額の平均を下げる効果があるからね。取得価額の平均が下がれば、同じ金額でも保有口数が増えるというわけ
ドルコスト平均法のメリット

分散投資の一手法でもあるドルコスト平均法。まずはどんなメリットがあるのかチェックしてみよう
【ドルコスト平均法のメリット】
- 平均取得価額を下げられる
- 1度にまとめて購入した場合に比べて、ドルコスト平均法では平均取得価額を下げる効果があります。
これは購入期間(積立期間)が長くなるほど効果的。
ドルコスト平均法は長期投資と相性がいい投資手法とも言えます。 - 高値のときにたくさん購入してしまうことを防げる
- 投資で利益を出すには「安く買って高く売る」のが基本。
しかし、これから相場がどうなるかを予想するのは容易ではありません。
「今が安い!」と思っても、翌日にはさらに下がることだってあり得ます。
その点、ドルコスト平均法なら「基準価額が高ければ少なく買い、安ければ多く買う」ができるため、結果的に高値づかみを防げるのです。 - 購入タイミングが分かりにくい初心者でもすぐに始められる
- 「安く買って高く売るのが基本」と言われても、投資初心者がそのタイミングを見極めるのはほぼ無理なこと。
しかし、ドルコスト平均法なら基準価額に左右されずに一定額を買い付けていくため、思い立ったその日から始めてもOKです。

こうやって見てみると、ドルコスト平均法は初心者向きの投資手法って感じだね

初心者だけじゃなく、長期間コツコツと投資をしている人にもピッタリな手法だよ。長く積み立てるほど、利益が得られるチャンスも増えるからね。ただ、ドルコスト平均法も『万能な投資手法』ではないんだよ
ドルコスト平均法の注意点

ドルコスト平均法のメリットをチェックしたところで、注意点も見ておこう
【ドルコスト平均法の注意点】
- 必ず利益が出る投資手法ではない
- 投資でいくらの利益が出るかは、あくまでも売却時の価格次第。
平均取得価額を下げることはできますが、売却のタイミングによっては損失が出ることだってあります。
必ず儲かる投資手法ではありません。 - 一括購入の方が大きな利益となることもある
- たとえば基準価額が右肩上がりの場合。
ドルコスト平均法でも利益は出ますが、最初に一括で購入した方がより高い利益となる場合が多くなります。【右肩上がりの場合】
※表は横にスクロールします→月数 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 合計 6ヶ月目に売却 1口あたりの価格 1,000円 1,050円 1,100円 1,150円 1,200円 1,250円 一括購入 購入価格 100,000円 0円 0円 0円 0円 100,000円 売却額:125,000円 口数 100口 0口 0口 0口 0口 100口 利益:+25,000円 毎月2万円分購入 購入価格 20,000円 20,000円 20,000円 20,000円 20,000円 100,000円 売却額:113,700円 口数 20口 19口 18.1口 17.3口 16.6口 91口 利益:+13,750円
「高値のときは少なく買う」ため、基準価額が毎月上がるような状況では毎月の取得口数は少なくなるもの。
最終的な購入金額は同じでも、一括購入した方が保有口数も多くなります。
こうした右肩上がりの状況では、保有口数が多くなる一括購入の方が利益は大きくなります。 - 右肩下がりだと損失を先送りするだけになる
- 基準価額が下落し続けるような状況で積立を続けていると、保有口数だけが増えて利益が出ない可能性も。
ドルコスト平均法だと毎月機械的に買い付けるため、基準価額を気にする必要がなくなります。
だからといって、全くチェックしないのはNG!
基準価額は定期的にチェックして、損失の先送りになっていないか見直すようにしましょう。 - 購入手数料などのコストがかかる
- 購入するタイミングを分散させるため、その分、販売手数料などのコストが必要になります。
商品を選ぶ際にはリターンばかりに注目せず、コスト面もよくチェックしましょう。
コストを抑えるためには、販売手数料0円の商品(ノーロード投信)を選ぶのがポイントです。 - 1つの商品に資産が集中してしまう可能性がある
- 毎月一定額をコツコツと買い付けるため、その商品にだけ資産が集中してしまう可能性が出てきます。
投資に回せる余裕資金の全てをこうした積立に回すのではなく、他の商品にも分散させることが『分散投資』の面からも有用です。

意外に注意点も多いのね。一括購入した方が利益も大きくなる場合があるなら、そっちの方が良さそうな気もしてくるけど…

これから一方的な上昇が見込める商品であれば、最初にまとめて投資した方がもちろん良い。それが見極められれば…の話だけどね

投資を始めたばかりの私には、まだ難しいかな…

それから、長期投資と相性がいいのは事実だけど、絶対に安心ってわけじゃないことだけは忘れずにね。投資をやる以上、何らかのリスクがあるのが当たり前だからね
ドルコスト平均法に向いている商品

ドルコスト平均法はどんな商品でも利用できるわけじゃないんだ。どんな商品なら使えるか、チェックしておこう!
【ドルコスト平均法が利用できる商品】
- 投資信託
- 外貨積立預金
- 純金積立など

この中でオススメするなら、やっぱり投資信託かな。ノーロード投信なら販売手数料も不要だから、買付時のコストも気にしなくていいし

株式には利用できないのかしら?

株式は口数で購入するのが基本だから、通常、この方法は利用できない。ただ、証券会社によっては株式の積立に対応しているところもあるよ
【ドルコスト平均法が利用できる株式】

プレミアム積立やキンカブなら株式をコツコツ積み立てられるけど、毎月手数料が発生してしまう。プレミアム積立で毎月2万円積み立てた場合、12ヶ月間続けると最低でも600円(50円×12ヶ月)は必要だから、コストをかけずに積立をやるならノーロード投信がオススメかな

手数料を払ってでも投資信託より大きなリターンが期待できる株式にするか、確実にコストを減らす投資信託にするかってことね

そう。これは個人の運用方針によるところも大きいから、まずは自分がどんな運用をしていきたいのか、しっかり整理するといいよ
ドルコスト平均法のまとめ
- ドルコスト平均法は、一定期間、一定金額分の商品を買い付けながら投資をする手法のこと
- 長期投資と相性のいい投資手法で、最終的な平均取得価額を下げる効果がある
- 投資信託など金額を指定して購入できる商品で利用可能
- 高値で一括購入するリスクを軽減できる
- 少ない資金で、購入タイミングが分かりにくい初心者でもすぐに始められる
- 平均取得価額を下げる効果はあるが、売却のタイミングによっては損失が出ることもある
- 相場が右肩上がりのときなどは一括購入の方が大きな利益となる
- 基準価額をあまり気にする必要がなくなるため、損失が出ていることに気付かない(気付くのが遅れる)可能性もある
- ノーロード投信を除き、購入手数料などのコストがかかる
- 一つの商品に資産が集中してしまう可能性もあるため、商品が分散するように適宜見直すのがオススメ