あやあや

私みたいに毎日頻繁に取引ができないような人は、どうやって銘柄を選べばいいのかなぁ?

マスターマスター

長期投資の投資先を選ぶためには、企業が出す決算書や『会社四季報』などのデータを基に、将来の業績などを予測する必要がある。『ファンダメンタル分析』と呼ばれる分析手法を使うんだ

あやあや

データ分析って、聞いただけで頭が痛くなるんだけど…

マスターマスター

最初は難しく感じるかもしれないね。いきなり全部を理解するのは難しいから、基本的な部分から押さえていけば大丈夫。ひとつずつ見ていこう!

ファンダメンタル分析で分かること

  • 企業の健全性や安定性はどうか?
  • 現在の株価が企業価値に対して割安なのか、割高なのか?
  • 企業の収益力はどれくらいあるのか?
  • 利益を株主に対してどれだけ還元する姿勢があるのか?
マスターマスター

長期の株式投資では『日々、細かい価格の上がり下がりはあっても、長期的に見ると株価が上がる銘柄を選べるかどうか』がポイントになる。でもこれって、何となく選べば良いってものでもないでしょう

あやあや

確かに。何となく選んで上がればラッキー! なら、ただの賭けと同じだよね

マスターマスター

そんなときに銘柄選びのヒントになるのが、このファンダメンタル分析なんだ。分析することで、企業価値が高いのに株価が安い銘柄(バリュー株)なども分かるようになってくるというわけ

あやあや

単純にチャートを見て判断するんじゃなくて、企業情報から判断するってことね

マスターマスター

そう。ちなみに、チャートを見て判断するのは『テクニカル分析』と呼ばれる。売買のタイミングを掴むのに有用で、デイトレーダーが重視する傾向にあるよ

ファンダメンタル分析に必要なもの

マスターマスター

ファンダメンタル分析では、様々な情報を活用して判断材料にしていくんだ。利用する情報には、次のようなものがあるよ

会社四季報
東洋経済新報社が年に4回(春・夏・秋・冬)に発行している、全上場銘柄の情報が掲載された書籍です。
株式投資をするうえでは必須とも言われている会社四季報。
日本で「投資の神様」と呼ばれている故・竹田和平氏は、会社四季報をじっくり読み、銘柄を選んでいたそうです。
企業が発表する決算書(財務諸表)
決算書の正式名称は「財務諸表」といいます。
「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3種類がよく利用されます。
世界的な「投資の神様」と呼ばれているウォーレン・バフェット氏は、財務諸表に徹底的に目を通し、銘柄を選んでいるそうです。
マスターマスター

会社四季報と決算書を見れば、その企業がどんな状態なのかが分かってくる。さらに、これらのデータから算出された指標をもとに『投資に適した銘柄かどうか』を判断していくんだ

会社四季報の読み方

マスターマスター

会社四季報は書籍として出版されているけれど、ネット証券の中には口座があれば無料で閲覧できるところもある。こうしたところを活用しよう

【会社四季報が閲覧できる証券会社】

※書籍版の会社四季報(税込2,060円)を読みたい場合は、書店やネット通販(Amazon、楽天ブックス等)で購入できます。

【主なネット証券の情報】
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特徴バランスよく国内、海外のメディアが揃っている日経テレコンが圧倒的魅力。申込み不要で豊富な情報が無料で閲覧可能。NY株式市場の動向が分かる、ロイター社のビデオレポートを毎日配信。証券会社オリジナルの投資情報がメイン。ニュースは24時間随時更新。会社四季報も無料。証券会社オリジナルの投資情報がメイン。証券会社オリジナルの投資情報のみ掲載。
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動画セミナーネット証券ではNo1の動画本数。初心者には十分です。過去のセミナー動画もアップされています。年間200本におよぶオンラインセミナーを実施。市況解説から投資テクニックまで充実した内容です。口座を開設していない人も視聴可能です。動画はあるが最終更新は2016年10月。セミナーではないが、毎日更新される「投資チャンネル」ありなしなし
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会社四季報の読み方

マスターマスター

会社四季報を読むと、企業の基本情報から業績・財務状況、資本移動の実績や株主の情報などが分かるんだ。指標も記載されているよ。今回は特に目を通しておきたい情報をピックアップするね

基本情報
会社名や決算日、特色や事業構成、本社所在地、従業員数、年収といった基本情報を記載。
コメント
業績予想や企業の成長に関するトピックス、課題など、担当記者のコメントを記載。
株主構成
筆頭株主(株券の保有率が高い株主のこと)から上位10名までの大株主を記載。
株主構成では「外国」「投信」「浮動株」「特定株」の4項目について記載してあります。

  • 外国:外国人投資家の持ち株比率。比率が高いほど外国人から人気がある銘柄と言える。株価に大きな影響を与えると言われている。
  • 投信:投資信託のことで、その企業の株を投資信託やファンドがどれだけ保有しているかが分かる。こちらも株価に大きな影響を与えると言われている。
  • 浮動株:市場に出回っている株のこと。浮動株の割合が少ない(市場に出回る株が少ない)と、株価の変動が激しいと言われている。
  • 特定株:役員などが保有する株式で、市場に出回ることが(ほとんど)ない株のこと。
業績や財務状況
① 業績
損益計算書から、売上高・営業利益・経常利益・利益を記載(詳細は後ほど記載)

② 財務状況
●自己資本比率
総資産に占める自己資本の割合を示したもの。自己資本は返済の必要がない資本なので、この比率が高いほど健全性が高いと言える。
一般的に、自己資本比率が40%を超えていると倒産しないと言われています。
ただし、大がかりな設備投資などの際には融資を受けることも多いので、自己資本比率はどうしても低くなりがち。
そのため、単純に「高い」「低い」ではなく、同業他社と比較することをオススメします。

●有利子負債
企業が有利子で借りているお金(借金)の額を示したもの。無借金経営の企業も多く存在する。
「借金」と聞くと悪いイメージがあるかもしれませんが、有利子負債がある=悪い企業とは限りません。
業種全体として有利子負債が多い業種(不動産業など)もあります。

③ キャッシュフロー

現金の流れを表したもので「営業CF」「投資CF」「財務CF」などがある(詳細は後ほど記載)

指標等
指標は企業価値や株価の割安感を知るための目安になります。
銘柄選びの際に重視したいポイントなので、覚えておくと便利です。

主な指標

●EPS
1株あたりの利益のことで、当期純利益を発行済み株式数で割ったもの。1株につきどれだけの利益が出たかを示す指標で、重要な指標の一つとされる。
EPSが高いと収益性が高い企業と見ることができ、上下動が少ない(安定している)と、安定企業と言えます。
また、EPSが右肩上がりなら「成長中の企業」と見ることができるため、投資先の候補としてもオススメです。
●ROE
自己資本利益率のことで、株主資本(自己資本)を使いどれだけ利益を上げられたかを表す指標。当期純利益÷自己資本×100で算出される。
一般にROEが高いと経営効率がよいと見ることができます。
ただし、単純に「ROEが高い=良い企業」と言えるものでもなく、「自己資本比率」や同業他社のROEと比較してみることが大切です。
●PER
株価収益率のことで、現在の株価をEPSで割ったもの。収益に対して株価水準が妥当かどうか(割高か、割安か)を判断する指標として使われる。
PERは数値が低いほど割安株といえますが、これも単純にその企業のPERだけで判断すればいいものでもありません。
同業他社のPERや、その企業の過去の水準と比較することをオススメします。
例)同業他社と比べてPERの数値が低ければ割安株、高ければ割高株ととれる等
また、株価が下がればPERの数値も低くなるため、株価の値動きもよく確認しましょう。
●PBR
株価純資産倍率のことで、現在の株価を1株あたりの純資産で割ったもの。会社の資本に対して株価水準がどうか(割高か、割安か)を判断する指標として使われる。
一般にPBRは1以下なら割安と言われていますが、だからといって「買うべき銘柄」と言えるわけではありません。
こちらもPER同様、株価が下がればPBRの数字が低くなります。
株価下落の要因は何なのか、よく確認するようにしましょう。
あやあや

会社四季報を見るだけで、こんなにたくさんのことが分かるのね!

マスターマスター

会社四季報が株式投資に必須と言われる理由が分かったかな?読破するのは難しいだろうけど、四季報に書かれている内容が分かった上で銘柄を見てみると、また違った発見があると思うよ

財務諸表の読み方

マスターマスター

もうひとつチェックしたいのが、企業が発表する財務諸表。実はこれも会社四季報に抜粋という形で掲載されているんだ。読み方を確認しておこう

貸借対照表について

貸借対照表は、別名バランスシート(B/S)とも言われます。

表の左側には「資産」が、右側には「負債」と「純資産」が記載されています。

資産:現金や預金、土地建物、商品在庫など、会社のお金がどのような形で存在しているかを示します。

負債:借入金や支払手形などいずれ返済(支払)の必要があるお金で、あまり多くない方がいいです。他人資本とも言われます。

純資産:株式発行で調達した資金や利益など、返済不要の資金です。自己資本とも言われます。

マスターマスター

資産が同じ会社でも、負債が多いA社と純資産が多いB社では、B社に投資した方がいいと見ることもできるってことだね

あやあや

純資産のことを自己資本とも言うってことは、会社四季報の財務状況のところで出てきた『自己資本比率』はこの数字を使っているってこと?

マスターマスター

そういうこと! 決算書を見ることが投資の銘柄選びに関係する意味が分かったんじゃないかな?

損益計算書について

1年間の収益と費用の内訳を示したもので、おこづかい帳のようなものと考えてもらうと分かりやすいと思います。

損益計算書には、次の5つの「利益」が記載されています。

① 売上総利益
単純に、売上高から売上原価を差し引いたものです。
② 営業利益
売上総利益から、販売費や一般管理費(給料や広告宣伝費など)を差し引いたもの。
本業による利益を表します。
③ 経常利益
営業利益から営業外損益(受取利息や支払手数料など本業以外の損益)を差し引いたもの。
営業利益(本業による利益)がマイナスでも、営業外利益によって「経常利益がプラス」なんて企業もあったりします。
④ 税引前純利益
経常利益から特別損益(土地を売却して得た収入や、子会社の倒産で出た損失など)を差し引いたもの。
⑤ 当期純利益
税引前純利益から税充当額を差し引いたもの。

④ と⑤ に関しては、特別損益が臨時的な要素が強いことから、正しい業績を反映していない可能性があることを頭に入れておく必要があります。

あやあや

利益って単純に売り上げから経費を引いたものだと思っていたけれど、5つも種類があるのね。このうち、どれに注目すればいいのかしら?

マスターマスター

特に注目したいのが経常利益! これをチェックすれば、その企業の通常経営での業績が把握できるよ

キャッシュフロー計算書について

1年間に出入りした現金の増減金額を記載したもので、「営業キャッシュフロー(CF)」「投資CF」「財務CF」があります。

これまであまり重視されていませんでしたが、いくら売り上げが多くても代金を回収できなければ支払いも滞ってしまいます。

そうなると黒字なのに倒産してしまう(黒字倒産)可能性も…。

キャッシュフロー計算書を見れば、貸借対照表と損益計算書だけでは分からない部分も見えてきます。

① 営業CF
本業でどれだけ稼げているかが分かるもの。
プラスなら本業による現金収入があるといえますが、マイナスだと現金収入が少なく、不良債権や過剰在庫を抱えている可能性があります。
② 投資CF
本業で稼いだ現金の使い道を表すもので、通常はマイナスになります。
ここがプラスの場合は有価証券や設備を売却し、投資を回収しているためと見ることができます。
なお、営業CFと投資CFを足して表す「フリーCF」もチェックしておきたい項目。
フリーCFがプラスだと、その会社には自由に使えるお金があるということ。
逆にマイナスの場合は自由に使えるお金がなく、資金調達の必要があることが分かります。
③ 財務CF
資金調達や返済状況を表すもの。
プラスの場合は資金を調達していて、マイナスの場合は資金の返済を行ったことが読み取れます。
単純にプラスかマイナスかだけを見るのではなく、借入金の増減をチェックすることが重要です。
あやあや

財務諸表って細かくて難しそうだし、きちんと見たこともなかったけれど、書かれている内容自体は意外にシンプルなのね

マスターマスター

財務諸表の見方が分かってくると、自分が働いている会社の業績や財務状況も分かるようになる。投資以外にも役立つことがあるんじゃないかな

ファンダメンタル分析のまとめ

  • ファンダメンタル分析は、財務状況などをもとに企業価値を分析するもの
  • 長期投資に向いた銘柄選びの判断材料となる
  • 分析の材料には会社四季報や、企業の財務諸表が利用できる
  • 企業の業績や財務状況を示すデータを基に、投資の判断材料となる各種指標が算出される
  • ただし指標は万能ではないため、銘柄を選ぶ場合は数値だけでなく同業他社や過去の水準などと比較することも必要

投資に多大な時間をさける人は別として、全ての企業についてファンダメンタル分析を行うのは到底無理な話です。

まずは気になる会社や好きな会社、自分が勤めている会社など、身近に感じるところから始めてみるのがオススメ。

新たな一面が発見できたりして意外に面白く感じると思いますよ。