
株主配当も株主優待も、どちらもインカムゲインだったよね

そう。その銘柄を保有しているだけでもらえるものだね。でも全く同じわけではなくて、違いもあるんだ

配当金で収入アップとか、お得な株主優待とか、魅力的よね! どんな点に注目すればいいとか、ポイントがあったりするのかな?

もちろん。詳しくチェックしてみよう
株主配当ってどんなもの?

株主配当は、企業が利益の一部を配当金として株主に分配するもののことだよ
- 利益の一部を「配当金」として株主に分配するもの。
例)1株につき50円の配当がもらえるA株を100株保有していた場合
50円(1株あたりの配当金額)×100株(保有株数)=5,000円(配当金) - 権利確定日をまたいで株式を保有している株主に分配される。
※権利確定日をまたいて株を保有するには?
買付について:権利付最終日(決算日の3営業日前)までに買い付けて、その日の大引け時点で保有している
売却について:権利落ち日(権利付最終日の翌日)注文分から売却OK
権利付最終日までに買い付けると、受け渡し期間を考慮して約定日から4営業日後の権利確定日に株を保有していることになります。 - 配当金は必須ではないため、利益を分配せず貯めておく(内部留保とする)企業もある。
- 業績悪化で配当金が下がったり、配当金が出なくなる(無配となる)こともある。

業績がよくても、必ず配当が出るとは限らないのね

そう。企業が成長するためにはどうしてもお金が必要だから、今後の企業活動のために貯めておくところもあるんだよ

株主からしてみると、配当金はないよりあった方がいいけれど…でも、配当金なしでも結果的に業績が上がれば株価もアップにもつながるわけだしね。なかなか難しいところだなぁ…
配当性向と配当利回り

株主配当という点から投資先を選ぶとき、チェックしておきたいのが『配当性向』と『配当利回り』なんだ
配当性向について
- 配当性向とは、当期純利益に対してどれだけ配当金を支払っているかを表したもの(単位は%)
- 配当金支払い額(円)÷当期純利益×100で求められる
- 数値が高いほど、企業は株主に利益を還元しようと頑張っていると読み取れる
- 成長企業は利益を自社の成長のために使うので、配当性向は低い傾向にある
- 配当性向は海外で高く、日本企業では低い傾向にあった(ただし、最近は日本企業でも高くなる傾向にある)
- 配当性向が100%に近い企業などは、利益が減ると減配(配当金額が少なくなる)となる可能性も高い
- 配当性向が100%を超えている場合は、剰余金を取り崩して配当金を出していると見ることができる

配当性向は、企業が利益のうちどれだけを株主に還元しているかを表す数字だよ。高ければ高いほどいいと思いがちだけど、そうでもない点には注意!

利益は出来るだけ株主に還元してほしいって思っちゃうけど…

最初に言った通り、企業が成長するためにはお金が必要でしょう。本当はお金が必要なのに分配していたら、新たな事業展開なども難しくなってくる

本当は金欠なのに、ちょっと無理して後輩におごるのと同じ感じかしら…

そんなイメージかな(笑)一般的に、配当性向は20〜30%が適正水準と言われているよ。ただ、企業によって考え方も違うから『配当性向が高いからダメ』ってわけじゃない。あくまでも、目安として考えてね
配当利回りについて
- 配当利回りとは、現在の株価に対して配当金がどれだけの割合でもらえるかを示したもの
- 1株あたりの配当金額÷1株あたりの購入金額(株価)×100で求められる
- 数値が高いほど、株価に対して配当金が高いと読み取れる
- 株価が安くなれば配当利回りも高くなる

配当性向と同じで配当利回りも高いものを選びたくなるけど、安易に選ぶのはNG! 割安株じゃなくて、単に業績悪化などで株価が下がっている銘柄の可能性もある

業績悪化で株価が下がっている銘柄を買っちゃったら、配当どころか損失が大きくなる可能性もあるってことよね…

そういうこと。業績が悪化すれば無配になることだってある。単に数値だけを見るんじゃなくて、企業の業績や将来性もちゃんとチェックするのが大切だよ
株主優待ってどんなもの?
- 企業が株主に対して、品物やサービスを提供するもの
- 権利確定日をまたいで株式を保有している株主に贈られる(株主配当と同じ)
- 優待品はその企業が取り扱っている商品やクーポン券、入場券、クオカードなど様々なものがある
- 優待を受けるための最低保有株数が決まっていることもある
例)単元株は100株だが、優待を受けるには最低300株必要など - 保有株数が増えると優待の内容がレベルアップすることもある
例)100株以上で2,000円分のサービス券、1,000株以上で5,000円分のサービス券になるなど - 銘柄によっては最低保有期間が指定されていることもある
- 日本独特の制度なので、海外にはない

株主優待は、言ってみればお中元やお歳暮のような感じかな。優待目当てで株式投資をやっている人も多いからね

航空会社なら割引航空券がもらえたり、テーマパークだと入場券がもらえたりするのよね

そうそう。ただし、株主優待の場合も優待の内容だけで投資先を選ぶのはNG! どんな点に注意すればいいのかチェックしておこう
株主優待に関する注意点
- 「欲しい優待」「使える優待」を選ぶのはもちろんだが、業績も必ずチェックする
- 株主優待は株主に対する「お礼」というよりは「オマケ」のようなもの。
業績が悪化すると優待自体がなくなる可能性もあります。
優待がなくなると、優待狙いだった投資家が株を売るために株価は下落。
結果的に含み損を抱えたり、売却で大きな損失となる可能性があります。 - 権利付最終日近くになると株価は上がる傾向がある
- 株主優待を受けるには、権利付最終日までに買い付ける必要があります。
期限が近づくにつれて優待狙いの買い注文が増えるため、株価は上昇する傾向に。
ギリギリで購入すると高値で購入してしまうことにもなるので、狙っている優待があるときは早めに購入するのがオススメです。 - 権利落ち日になると株価は下がる傾向がある
- 権利付最終日とは逆に、権利落ち日には売り注文が増えます。
その結果、株価は下落する傾向にあるのです。

優待銘柄にはこうした値動きの特徴があるから、場合によっては優待内容以上の含み損を抱えたり損失が出たりすることがある。優待欲しさに下降トレンドの株を持ち続けるのは結果的に損するだけだから、この点には要注意だよ
株価下落のリスクを抑える『つなぎ売り』

権利落ち日に株価が下落するリスクを抑える方法に、『つなぎ売り』という手法がある。株主優待のことを調べていれば、どこかで見たことがある人も多いかも
- 信用取引を利用して株価下落リスクを抑えつつ株主優待を獲得できる方法
- 少ない手数料でリスクを抑えられる点がメリット
- 利用するには信用口座を開設する必要がある
- 決まった日時までに同株数、同価格で現物買いと信用買い(空売り)の注文を発注する
- 翌営業日に信用売りを現渡し(現物株を使って信用売りの決済をする)し、全ての決済を完了させる
- この方法が利用できるのは、貸借銘柄か証券会社が指定する銘柄のみ

詳しい説明は省くけれど、この方法を利用すれば損失を出さずに株主優待を獲得できるんだ

損失が出ないなら、この方法を使った方がいいじゃない!

つなぎ売りを活用するなら、まずは信用口座を開設しないといけない。信用口座は資金面や投資経験などの審査に通らないと開設できないから、まずは投資経験を積むことから始めよう
株主配当と株主優待のまとめ
- 株主配当は利益の一部を株主に分配するもの、株主優待は企業が株主に対して品物やサービスを提供するもの
- いずれもインカムゲインとなる
- 権利付最終日(決算日の3営業日前)までに買い付け、その日の大引け時点で保有している必要がある(権利付最終日に売却してはダメ)
- 権利落ち日(権利付最終日の翌日)の注文分から売却可能
- 株主配当については「配当性向」と「配当利回り」を参考にすると良い
- 株主優待については保有株数や保有期間に条件が付いていることがある
- 株主優待狙いの投資家も多く、権利付最終日には株価が上がり、権利落ち日には株価が下がる傾向にある
- 株主優待では「つなぎ売り」を活用することで、株価下落リスクを抑えることができる(利用するには信用口座が必要となる)
- いずれの場合も投資先を決めるときは配当金額や優待内容だけでなく、企業の業績などもチェックする
特に株主優待に関しては、証券会社のホームページでも特集ページがあるほど注目度が高いもの。
そうしたページを見て興味を持つ人も少なくないと思います。
ただ、いくら優待狙いとはいっても株式投資をやっていることに変わりありません。
株式投資の基本をしっかり勉強することも忘れずに、配当や株主優待を楽しんでくださいね。