
毎月コツコツ貯金はしているけど、私がおばあちゃんになる頃は年金も減るだろうし老後の不安は尽きないな…

貯金もいいけど、老後が不安なら『個人型確定拠出年金』で備えていこうよ

老後に備えつつ、税金も優遇されるっていうやつね! …それ以外のことは知らないけど

早速、制度の中身をチェックしてみよう!
目次
1.個人型確定拠出年金ってどんなもの?

個人型確定拠出年金、通称『iDeCo』の簡単な概要をまずはピックアップするね
【個人型確定拠出年金(iDeCo)とは】
- 自分自身で老後資金を準備するための制度
- 原則として20歳以上60歳未満のほぼすべての人が加入できる
- 毎月一定額の掛金を積立てながら、60歳まで運用する
- 60歳以降(2017年時点では60〜70歳)に受取可能
- 受取り方は2種類あり、一時金(一括)か年金(分割)か選べる

老後に備えるという意味では公的な年金もあるけれど、それにプラスして自分たちでも備えておきましょうって感じの制度なのね
2.iDeCoで節税ができる!

単に老後に備えるだけなら、貯金する額を増やすというやり方もあると思うんだ。それよりもiDeCoがオススメなのは、税金が優遇されるからよね

そう! 貯金するだけだと税制のメリットは受けられない。ここにiDeCoの大きなメリットがあるんだ
【iDeCoの税制メリット】
- ① 積立時
- 掛金は全額、所得控除の対象となる
→所得税・住民税の軽減(ただし、専業主婦など所得が少ない場合はメリットなし) - ② 運用中
- 運用中に出た利益は全額非課税
- ③ 受取時
- いずれの受取方法でも、一定額までは非課税
→一時金の場合は退職所得控除が、年金の場合は公的年金等控除が適用(退職所得控除の場合、積立期間が長いほど控除額も大きい)

それぞれの場面で、いろんな税制メリットが受けられるのね。ちなみに、積立期間中にはどれくらい節税できるのかな?

節税金額は、
年間の掛金×(所得税の税率+住民税の税率10%)
で算出できるよ
【節税金額シミュレーション】
あやの場合:課税所得350万円(所得税の税率は20%)、毎月2万円ずつ積み立てた場合(年間の掛金は2万円×12ヶ月=24万円)
24万円×(所得税20%+住民税10%)
=7万2,000円(年間)

1年間でこんなに節税できるんだ!

これを30年間続ければ、節税額は216万円! もちろん、この数字は概算だから実際の数字とは少し異なるけれど、なかなかの金額でしょ?
3.加入対象者と掛金について

iDeCoって基本的には誰でも加入できるのよね?

2017年1月に制度が少し変わって、20歳以上60歳未満なら原則として誰でも加入できるようになった。それまでは公務員や専業主婦は対象外だったんだ
【iDeCoの加入対象者】
- 職業に関わらず、20歳以上60歳未満なら一部の人を除いて誰でも加入できる
- 加入できない人とは?
→企業型確定拠出年金や企業年金のある会社に勤めていて、会社の規定で加入を認めていない場合
こうした制度を導入している会社で働いている人は、事前に会社に確認することをオススメします。

それから、iDeCoの掛金にはいくつか注意点もあるんだ
【iDeCoの掛金について】
- 掛金の下限は5,000円(全加入者共通)
- 毎月の掛金には限度額がある
① 企業年金のない会社の従業員・専業主婦(主夫)…2万3,000円
② 企業年金のある会社の従業員…1万2,000円〜2万円(会社規約によっては加入できない場合あり)
③ 自営業者…6万8,000円
④ 公務員…1万2,000円 - 掛金を引き落とせなかった場合
その月は「拠出なし」の扱いとなり、追納もできない - 金額を変更したい場合
毎年4月〜翌年3月の間に1回だけ変更可能

掛金額も年に1回までなら変更ができるから、ライフステージに合わせて無理なく積立できるようになっているのね
4.iDeCoの注意点

ところで、iDeCoのメリットはだいたい分かったけれど、注意点はないの?

もちろんある。注意点もよく知っておいてほしいんだ
【iDeCoの注意点】
- 積立てたお金(老齢給付金)は60歳になるまで引き出せない
- iDeCoはあくまでも「老後資金」という位置づけのため、60歳を過ぎないと引き出すことができません。
ただし、次のような場合は給付金が受け取れます。
① 加入者死亡の場合→死亡一時金の請求が可能
② 加入者が傷病等により高度障害の要件に該当した場合→障害給付金の請求が可能 - 中途解約はできない
- 一度積立を始めると、途中で解約することはできません。
ただし、いくつかの用件をすべて満たした場合に限り、脱退一時金を受け取ることができます。 - 50歳以上で始めると60歳から受け取れない場合がある
- iDeCOでは積立を始めてから10年以上経過していれば、60歳から老齢給付金を受け取ることができます。
そのため、50歳以上で始めた場合は受取開始年齢が繰り下がってしまいます。

60歳になるまで引き出せないということは、それ以前に必要になりそうなお金は別の方法で準備した方がいいってことね

そう。税制のメリットがあるものとしてはNISAやつみたてNISA(2018年1月スタート)がある。こうしたものも上手く利用しながら、資産運用するといいよ
5.iDeCoにかかる手数料

そうそう、iDeCoで忘れちゃいけないのが手数料! ここもよくチェックしておいてほしいんだ

税金は優遇されるけど、手数料は必要になるのね。手数料にはどんなものがあるの?

加入者全員に共通してかかる手数料と、金融機関によって変わる手数料の2つがあるんだよ
【iDeCoにかかる手数料】
- ① 加入者全員に共通してかかる手数料
- 加入手数料:2,777円(初回のみ)
国民年金基金連合会向け手数料:月額103円
事務委託先金融機関向け手数料:月額64円 - ② 金融機関によって変わる手数料
- 運営管理手数料:月額0円〜

運営管理手数料って、0円のところもあれば有料のところもあるのね

そう! ここは金融機関によって違う部分だから、よく確認してほしいところなんだ。手数料は確実なマイナスだから、出来る限り減らすのが基本だよ
【運営管理手数料について】
大手ネット証券の場合、運営管理手数料は0円というところが比較的多いです。
銀行の場合「一定の条件を満たせば0円」というところもあれば、地銀では一律で300円程度かかるところも。
場合によっては手数料のせいで元本を下回ることもあるので、可能な限り0円の金融機関を選ぶようにしましょう。
6.iDeCoの利用方法と対象商品

最後に、iDeCoの利用方法や商品についての話をするね
【iDeCoの利用方法】
- ① 金融機関を選び、iDeCoの加入申込みをする
- 金融機関によって取り扱う商品や手数料(運営管理手数料)は異なるため、まずはここをよくチェック!
金融機関を決めたら資料を請求し、加入申込みをします。
なお、iDeCoに加入するだけなら証券口座を開設する必要はありませんが、口座があれば管理もしやすくなります。 - ② 掛金の配分割合を指定
全ての手続きが済んだら、いよいよ運用がスタート。
このとき、掛金の配分割合を指定します。
- 配分は金額ではなく割合(%)で自由に指定可能
- 運用方針によって配分割合は変わってくる(元本重視型、ハイリスク型、ローリスク型など)
- 途中で配分を変更することもできる
- 配分を指定しない場合は、自動的に「定期預金100%」となる

iDeCoの対象商品には『元本確保型』と『元本変動型』の2種類があるんだ。商品の選び方は運用方針によって変わってくる
【iDeCoの対象となる商品について】
- ① 元本確保型
-
- 満期を迎えた時点で元本を割り込まない商品のこと
- 商品としては定期預金と保険がある
- メリットは元本割れのリスクが少なく安心できる点
- デメリットは金利が低い点と、保険の場合は満期前に解約すると『解約控除金』が発生する点(保有商品を入れ替えるたびに手数料が発生)
- 金利が低いため、手数料で元本を下回ってしまう可能性もある
- ② 元本変動型
-
- 運用状況に応じて元本が変動する商品のこと
- 商品としては投資信託がある
- メリットは元本確保型よりも高い運用成果が期待できる点
- デメリットは運用状況次第で元本を下回る可能性がある点

安全第一で元本確保型100%とするのも悪くはないけれど、より高い成果を出すなら変動型を利用することも検討してみよう

iDeCoはあくまでも老後資金だから、早く始めれば始めるほど、ゆとりをもって備えることができるよね

iDeCoは節税もできるし、将来に不安を感じる若い人にこそ加入してほしい制度。気になる金融機関の資料を取り寄せることから始めてみよう!
7.iDeCoでおすすめのネット証券
【主なネット証券のiDeCo】
※表はスクロールします→
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 15本 | 6本 | 6本 |
海外株式 | 14本 | 4本 | 5本 |
国内債券 | 2本 | 2本 | 1本 |
海外債権 | 7本 | 4本 | 3本 |
国内REIT | 3本 | 2本 | 2本 |
海外REIT | 3本 | 1本 | 1本 |
コモディティ | 2本 | 1本 | 1本 |
バランス型 | 17本 | 4本 | 2本 |
ターゲットイヤー型 | × | 3本 | × |
元本確保 | 4本 | 1本 | 1本 |
詳細情報 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 |
【マスターのコメント】
iDeCoでは、SBI証券と楽天証券がオススメ。
iDeCoのまとめ
- 自分自身の老後資金を準備するための制度で、積み立てたお金は60歳以降に受け取れる(条件によってはそれ以前に給付金を受け取ることも可能)
- 積立時、運用中、受取時のそれぞれに税制メリットあり
- 20歳以上60歳未満のほぼすべての人が加入できる(一部例外あり)
- 積立額は月5,000円から、上限は自営業者や会社員などの区分によって異なる
- 加入者共通の手数料と、金融機関によって異なる手数料がある
- 対象商品には元本確保型(定期預金、保険)と元本変動型(投資信託)の2種類がある
- 掛金の配分割合は加入者が1%単位で自由に指定できる(変更も可能)